今回は安宅和人さん著書
『イシューからはじめよ』を参考に、
子どもの思考力を伸ばすための授業作りについて考えました。
安宅さん著書『イシューからはじめよ』は主にビジネスマンに向けた知的生産性を高めるための内容です。
ですが
「その思考法を教育現場に生かすことができれば?」
「本書の内容を授業でも実践することができれば、子どものうちから思考力を格段に伸ばしていけるはず!」
と本書を読んでいると思うようになり、
『イシューからはじめよ』の中で書かれていることを授業でも実践し始めました。
今回は実践している中での子どもの様子も踏まえながら
『イシューからはじめよ』で書かれている方法が子どもの思考力を伸ばすことにつながるということをお伝えできればと思います。
優れた知的生産とは?

そもそも教師の役割とは
子ども一人ひとりが社会で自立して生きていくための能力を養う手助けをすること
であると私は考えています。
社会で自立して生きていくのに欠かせないことが
仕事です。
「仕事とは何ですか。」
と聞かれてあなたはどう答えますか?
仕事とは顧客から対価をもらいつつ意味のあるアウトプットを提供すること
これが仕事の定義だと私は考えます。
相手にとって意味のあるアウトプットを提供することが最優先であることはビジネスマンだけでなく教師である我々も重々わかっていることでしょう。
では、子どものうちから鍛えておくべき力が何か?
それは
意味のあるアウトプットができる力
つまり
優れた知的生産
です。
そして、優れた知的生産のカギとなるものが
この本のタイトルにもあるように
イシュー
なのです。
本書におけるissueの定義
- 2つ以上の集団の間で決着のついていない問題
- 根本に関わる、もしくは白黒がはっきりしていない問題
上に示したような定義ではあまりピンとこないかもしれません。
そこで、私は学校教育におけるイシューを次のように定義しました。
学校教育におけるissueの定義
- 単元で身につけたい力に深く関わり問い
- 表層的な思考に留まらず、自分なりの見方・考え方を通して真剣に考えることのできる問い
学校教育でも上で定義したイシューを意識し、子どもたちが学習することができれば優れた知的生産を行えるようになるはずです。
では、次にどのように授業で実践していけばいいか詳しく見ていきましょう。
授業の質=イシュー

授業の中でカギとなるのは
何に答えを出すべきなのか
について子どもたちがブレることなく活動に取り組むことができるかどうかです。
例
(算数)
5×3の答えの出し方を言葉や図で説明する
(社会)
洪水の被害を最小限に抑えるために自分たちができることを考える
例に挙げたような問題の下線部分をブラさずに学習させることが授業では大切になります。
そこで授業では
何に答えを出すべきなのか
という部分を真剣に考えなければいけません。
答えるべき問いを見誤ると、子どもの学習にも影響を与えてしまいます。
なので常にこの問題に答えを出す必要性は高いのか(単元のねらいに沿って、かつ学習を通して臨むべき成長が見込まれている問い)を吟味しましょう。
単元の内容×身につけさせたい力×答えを出す必要性=質の高い問い
悩むのではなく考える

子どもたちが問いを考えるにあたり
考えるということがどのような状態なのかも理解させておく必要があります。
あなたもありませんか?
すごく悩んで答えを出そうとする経験。
でも悩んでいるという状態、実は答えに対して考えているわけではないのです。
悩むとは
「答えが出ない」という前提のもとに考えるふりをすることです。
そして考えるとは
「答えが出る」という前提のもとに建設的に考えを組み合わせていくということです。
なので、まずは問いに対するマインドを
無理だ、わからない、できない
から
答えが出るはずだ、必ずやれる
に変えないといけないのです。
そして次に自分の考えを組み立て、明確にさせる方法を学ばせる必要があります。
自分の考えを組み立てる方法として
言葉や絵、図やチャートなど様々です。
先生方もこれらを駆使した考えの組み立て方を学び、ぜひ子どもたちに還元してあげて欲しいと思います。
自分の考えを言葉や絵、図やチャートを用いてまとめていく訓練を多く行うと、解の質(解の質とはイシューに対してどこまで明確に答えを出せているかというもの)も上がっていきます。
ただし、一人ひとりの解が表層的な論理思考で終わらないように教師側は目を配りましょう。
表層的にならないためには、
「自分なりに感じること」
がとても大切であり、
自分なりの見方や考え方も取り入れながらイシューに迫れているかもチェックしてあげてください。
イシューからはじめる授業の流れ
それでは、今までのことも踏まえて授業をどのように作ればいいか確認していきましょう。
答えを出すべき問いの設定
これは先ほどから何回も言っていますが
今回学ぶ内容の中で何に答えを出す必要があるのかという部分を教師側でしっかりと考えましょう。
そして、さらにその部分を子どもにも伝わるように明確に言語化しておいてください。
そうするだけで、子どもたちの目的意識がブレてしまうことが格段に減ります。
また、答えを出すべき問いを検討する際に、1時間という授業の中で答えまでたどり着くことができるかも見極めるようにしてください。
(既習の内容や今まで培ってきた手段を用いて問題にアプローチできるだろうか?と考えてみてください。)
教師側の準備はここの部分をしっかりしておけばOKです。
次に子ども側が問題に対してどのようにアプローチしていけばいいかを紹介します。
問いに対する子どもの働きかけ
自分なりの仮説を立てる
まずは問いに対して一人ひとりが自分なりの仮説を立てられるようにしましょう。
例
(社会)
【問い】なぜ〇〇にはダムが必要なのか?
【仮説】〇〇はいつも水害に悩まされており...
(理科)
【問い】この実験ではどのような変化が起きるでしょうか?
【仮説】前の学習では〇〇だったので、今回は...
問いと自分なりの仮説をつなぐことで、
自分の仮説は正しいのか?
という思いが高まるため、より自分ごととして学習問題に子どもたちは向き合うことができるようになります。
友達の考えや教科書から分析
仮説を立てることで、その仮説がどうなのかと分析が始まります。
友達の考えから学び、教科書の内容を理解しようとすることで自分の考えがどうであったか分析させるように教師側は促しましょう。
その際、子どもは表面的な答えを出して終わってしまうことも多いので、
教師側が
「だから何?」
「こことここは繋がっているの?」
「どうして?」
と深く掘り下げるような質問を繰り返してください。
このようなことを繰り返し、子ども主導で問いの核心までアプローチできるようになっていきます。
自分なりの考えを再度まとめる
最後はもう一度、問いに対して自分の考えをまとめるようにします。
自分の仮説は正しかったのか、異なっていたのなら本当の答えや考え方は何であったのかを自分なりの言葉で立ち返らせるのです。
注意すべきことは教師側の言葉を丸写しさせて終わってしまわないようにすることです。
あくまで自分の言葉でまとめるというところに拘りましょう。
この一連の流れで意識させるべき点
この一連の流れで子どもに強く意識させたい点が
言葉にする
ということです。
とにかく自分なりの言葉で書いたり、伝えたりすることで思考がドンドン整理され、明確になります。
言葉にすることに徹底的にこだわる
これは教師側も常に意識しておきましょう。
なので授業では、子どもが「考える」「書く」「話す」時間をたっぷりと設けるようにしてください。
子どもが聞いてるだけの授業にだけにはならないようにしましょう。
終わりに
以上、『イシューからはじめよ』の内容を参考にし、授業のあり方について考えてきました。
この流れで常に子どもに考えさせることができれば、思考力は格段に高くなっていくと私自身は信じています。
ぜひあなたも明日からの授業で意識してみてください。
そして実践した結果などTwitter上で報告していただければ幸いです。
こちらの記事も教育についての内容となっていますので、よろしければお読みください。
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それではまた。